コスト構造改革を推進するためには発注者側に地質リスクをマネジメントできる地質専門家が必要であると思われる。国等を除いてほとんどの発注機関において、外部から技術顧問を調達することを検討されることが望まれる。発注者側に地質専門家を必要とする場面は、「事業計画の立案(技術アドバイザーとして)」「 設計・工事などの調達(CMとして)」「リスクの取引(PFI)(代理人として)」「 職員の教育・指導(先生として)」など多様である。
このような技術顧問を制度化する方法としては以下のような仕組みが考えられる。
1.技術顧問制度の成立 発注者が外部から発注者支援を受ける考え方の一つが品質確保法第15条で言及されたが、今後多様な分野において発注者を支援する仕組みが施行され制度化の方向に向かうと考えられる。
2.地質リスクマネジメントのコスト縮減施策への導入 地質リスクマネジメントは、効果が実証されれば国のコスト縮減プログラムの一つとしてコスト縮減施策に導入されることが期待される。
3.地質リスクの説明責任の制度化 今後、発注者は事業費の変更に説明責任を負うのみではなく、公共事業に潜在している地質リスクを事前に把握し公衆に伝達する役割が求められている。そのことが事業執行における合意形成の条件となれば、必然的に地質リスクマネジメントが導入されるであろう。
4.妥当投資としての地質技術 研究に着手したばかりであるが、1つの技術顧問活動によって1,000万円以上の効果が期待でき、仮に年間2,3箇所で成果が出せれば採算に乗る事業であると考えてよさそうである。
技術を公共投資として扱う考え方が導入されつつあり、先ずは地質調査費の妥当性を立証し、あわせて地質技術(質)の投入妥当性を立証することが必要である。このことは発注者側の技術者の存在証明ならびに成功報酬の考え方にもつながるものである。